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2013年03月22日

4.オレンジの点滴 その1(2008年5月〜9月)

※これはつづきものです。このカテゴリの最初の記事からお読みください。

治療中一番しんどかったのは、他でもない抗がん剤だ。
体温と血圧の正常値を確認した上、点滴を2時間近くかけてゆっくり落とす。
少しでも熱があったり、体調がすぐれないと受けられない。
熱はなくてもこれから抗がん剤を注射するというだけで気分が悪くなる人もいるらしい。
1回目はまだいいが、回を追うごとにキツくなるからだ。

色は鮮やかな蛍光オレンジ、危険です!と云っているような色。
それに吐き気止めなど全部で3種類を注射する。
ピンクの扉の特別ルームでリクライニングチェアーに座る。
注射している間は、本を読んだり音楽を聴いたり看護師さんと会話したりして過ごす。
この時点ではどうということはない。終わった後もふつうに歩いて帰れる。
しんどくなるのは、注射後3、4時間経ってからだ。
まず吐く、とにかく吐く、その後体が重くなり3日間はほぼ寝たきりになる。
仕事は不可能、トイレと布団の往復のみ。
何も食べられないから力も出ない。無理やり水だけは飲む。

注射は全部で6回、3週ごとにうつため、やっと体調が戻り、
気分が良くなってきたと思ったら次の回が来るというその繰り返しだ。
2回目からは吐き気止めを多めに入れてもらい嘔吐はなくなったが、
気持ち悪さと引力が変化したかのようなどんよりとした体の重さはつづく。
歯茎がやられ口の中は血だらけ、徐々に皮膚はくすみ爪は変形する。
3回目からは髪の毛が抜け始めた。

ガン細胞だけを攻撃できる薬はまだない。
そのため細胞分裂の速度が似ている粘膜や皮膚や爪、髪の毛などが
一緒に攻撃を受けるのだそうだ。
化膿を抑えるためのステロイド剤も体がむくみ痛いくらいパンパンになるので
やめたくなる。もう何と戦っているのかわからない。我慢大会だ。

だんだん学習してきて少量なら食べられるものが増えてきた。
クロワッサン、ヨーグルト、シュークリームなど。
この世で一番好きなチョコレートが食べたくない。大事件だ。
その代わり、いままであまり好んで食べなかった瓜の種類、
キュウリ、スイカ、メロンなどがとてもおいしく感じられた。
牛乳がダメになり、苦手だった豆乳が飲めるようになる。不思議だ。

食欲がないので痩せることを期待したが(笑)、ステロイドのせいでかえって丸い。
その容姿を見て心無い発言をする人間(!?)もいたが、
家族はもちろん、友だちにはそんな人は一人もいない。当たり前だがみんな優しい。

心無いといえば、こんなことがあった。
体質なのか何なのか黄疸が出ることがある。気分は全く悪くない。
手術後も出て安静にと云われたが、メールをしに外へ出ても大丈夫だった。
はじめて抗がん剤を注射したときに、またしても黄色くなった。
特に白目がまっ黄色だ。時期が時期だけにコワくなった。
看護師さんが、「不安なことがあったら夜中でも電話してきていいからね。」
と言ってくれていたのでかけてみた。宿直医が出た。なぜか面倒臭そう。
症状を話したら耳を疑うような言葉が返ってきた。
「私はあなたの主治医ではないので、あなたの体のことはわかりませんし、
これから来られてもなにもしてあげられません。」と高飛車な感じ。
さらに「黄疸が出たのは肝臓に転移したのかもしれませんね。」
と、不安を煽るような一言を付け加えた。本当に医者なのかよ!!!
何か言い返してやりたかったがあまりの驚きで言葉を失った。
バカにしたような話し方にムカついて悔しくて泣いた。泣いたらスッキリした。
もう二度と電話はするまい。こんな人が自分の主治医じゃなくて本当によかった。
あなたのことは主治医にチクっときますから(笑)

わかってはいたけれど、世の中には決して分かり合えない生物がいるものだ。
病気のおかげで見えないものが見えてきた。悪いことばかりじゃない。

つづく
ラベル:抗がん剤 乳がん
posted by YOH at 12:30| Comment(0) | 病気のこと その1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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